イベントレポート

課外活動に取り組む学生必見!「活動を継続する方法とは」〜仙台ミラソン第2回セミナーより〜

avain1

「NPO法人Avain(アバイン)」副代表理事の足利文香さんを講師に迎え、2018年11月16日に開催された、仙台ミラソン2018「第2回セミナー」の模様をお届けします!

仙台ミラソンとは

若者のアイデアを仙台市が提供した地域課題の解決にいかし、よりよい仙台をつくることを目的とした取り組みで、2014年から5回目の開催です。
今年度は、9月にキックオフイベントとして「地域課題解決ワークショップ」を開催、参加者は地域課題のテーマを選び、チームに分かれて活動を始めました。ワークショップ後は、チームごとに地域課題を解決するアイデアの実践を目指して活動しています。

仙台ミラソン2018

9月のキックオフからおよそ2か月。チームごとに実地調査や打合せなど、プロジェクトを進めてきた参加者の皆さん。それぞれ解決への道筋が少しずつ見えてきた様子で…?
そんな仙台ミラソン2018では、この日「第2回セミナー」を開催し、参加者が集合しました。

テーマは「学生の頃に立ち上げた活動をどうやって継続していくのか」。講師は、宮城県大崎市古川で、まちづくりへの関わりを実践されている「NPO法人Avain(以下、Avain)」副代表理事の足利文香さんです。Avainは、大崎市や大崎市周辺に住む高校生・大学生・社会人、10代から20代の若い人が中心となって活動しているまちづくりNPO法人です。

足利さんは、学生時代に仲間とともにAvainを立ち上げ、広く古川のまちづくりに携わり続けています。これまでの歩みや、活動を続けられたコツ、今後の展望等をざっくばらんにお話しいただきました!

学生団体などで課外活動に取り組んでいる方、必見!イベントレポート

宮城県大崎市から来ました、Avainの副代表理事を務めております、足利と申します。宮城大学出身で、ずっと大崎市にいたんです。今は古川商工会議所に勤務しながら、NPO法人の活動を続けています。なので平日は会社員で、プライベートはNPOで活動をしているという形です。

学生時代からNPO法人をやっていて、それを継続してやっているという事例の1つとして、皆さんに活動や思いといったところをお伝えできればなと思います。

足利さんプロフ

大崎市古川とは

「大崎市は宮城県の北西部に位置し、東は遠田郡・登米市、西は山形県・秋田県に接し、南は黒川郡・宮城郡・加美郡、北は栗原市に接しています」(大崎市公式ウェブサイト http://www.city.osaki.miyagi.jp/index.cfm/10,45,25,93,html より)
仙台市の北に位置し、およそ13万人が住む大崎市。その中心部が、古川と呼ばれる地区です。

これまでの歩み

方言って“地域の魅力”だと、私は思っていて。日常的に使うものだし、ほっこりするなと。そういう方言を使いたいねという話になったときに、「一緒に行こう」という意味が方言「あばいん」にはあって。一緒に大崎市、地元を盛り上げていこうという想いをこめて、この団体名をつけました。

足利さんAvain

「若者と地域をつなぐ」というコンセプトをもとにやっていて、3つの柱を掲げて活動しています。

1つ目「大崎市の魅力を発信」。企業や民間が発信する方法ももちろんあるんですけれども、若者が「大崎市ってどんなところだろう」とか、「どんな魅力があるんだろう」とまず考えて、それをどうやって発信しようかというところをやっています。地元の方言をプリントした手ぬぐいがありまして、Avainで作ったんですけれども、そういった方言=地域の魅力を手ぬぐいというツールを使って発信とか、そういったこともやっています。

2つ目「若者の実践の場」。学生に「自分は地元でこういうことをやりたい」と言ってもらって、それに対してAvainが「じゃあこうしよう」とか、「一緒にやろう」と支援する、そういう実践の場としても活動しています。

「多世代の交流の場」というのが3つ目。学生から大人までいろんな世代の人に交流してもらうことで、いろんな価値観を共有し、出会いの場に繋がると思って、そういった活動を行っています。具体的には、定期的にイベントを開催しています。

活動を続けられたコツ

学生の頃は空き店舗をたまたまもらえて、「ちょっとやってみようか」という感じだったんです。最初はイベントをやっても全然人が来ないのがザラで、やっぱり難しいなと。でも、とにかくやってみないと始まらないと思ったので、とにかくトライ&エラーで、イベントをたくさん開催しました。来客が多かったものや、面白い人が集まってきたなと思えるニーズの多かったものを、どんどんイベントとして定期化していきました。人を繋いで、繋がった人たちで新しいプロジェクトをやってもらったり、そういう繋がりの場所として提供したり。

運営面に関して言うと、イベントで出た収益と、イベントをする団体に1時間あたりいくらという形で場所を貸した収益、あとは会員からもらえる会費。一番大きいのは、市からの補助金。自主財源と補助金で運営をしていて、なんとか続けられたというところはあります。

継続することはすごく大変だなと思って、今も資金繰りはギリギリでやっているんです。一番大事だと思えるのは、団体に参画している人たちがどれだけやる気を持っているかというところで。もちろん学生の頃なので、例えばバイトとか、他の学生団体にも所属しているからそっちもやらなきゃいけないってことで、結構人によってAvainの活動に参加できる時間が異なるのでそこのばらつきは少しあって。できる範囲で活動していったのが正直なところです。でも、私自身は「ずっと地元でやっていきたいな」と思っていたので、そうやって地元にずっと残りたいと思っている人が、今こうやって社会人になっても継続してやり続けて、イベントの運営とか企画とかをやっているので、すごく人に恵まれながら活動できているんじゃないかなと思います。

あとはAvain単独よりも、他の団体と連携してきました。10代、20代の若者中心にとは言っていますけれども、例えば50代の大人の方も参画してもらうとか、気持ちは若いからじゃあ参加してみるかと言って参加している人もいるので、そういう団体とか興味のある人の力を得ながらやっていくことが、継続に繋がっていくのではないかなと思います。

学生団体が大崎市にはほぼ無いので、逆に言うとそこが強みかなと。仙台だとすごく大学生も多いので、それぞれのカラーを持っていて、他の団体と差別化を図りながらというところが多いんじゃないかなと思いますけれども、Avainに関しては“学生の団体”と大崎市でブランド化されているので。そういった意味では、「学生さんだからこれやってみてよ」っていう風に、イベントのボランティアの依頼を受けるなど、話は持ち込まれやすいってことが繋がりにおいても重要視されているので、そこがすごく助かったと言いますか、良かったなぁという風に思っています。

二足のわらじの理由、今後の展望

いわゆる“二足のわらじ”と言いますか、NPOと商工会議所で掛け持ちをしています。ちなみに商工会議所ってどういう仕事内容か、皆さんご存知ですか?
(会場参加者、知らない顔)
あんまり知られていないようなので簡単に説明しますが…地元のお祭りとかイベントを企画・運営する地域振興の行事と、個人事業主さんの税務指導、経営者さんの業務とか広く地域の支援を行っている団体です。私は、社会人になって3年目なので、入社して3年目ということになりますね。

どうして2つ掛け持ちしているか、というところで3つ理由がありまして。

1つ目が「地域を知りたかったから」。大学の頃からAvainで、地域に根ざして若い人たちで活動を続けていて、地域の現状とかも聞いていたんですけど…表面上の話だけじゃなく、もっと経済とかそういう地域の深い事情も知りたいなと思っていて。そのためには、商工会議所に入っていって、より地域の現状とかニーズとかを聞く機会を持ちたいなと。

次に「実践できる場所が欲しかったから」。平日どっちかというと商工会議所はデスクワーク中心で、あまりじっとしているのが好きではない性分なので、やっぱり自分がやりたいことを実践できる場所がほしいなぁって。仕事一本ではなくて、NPOの活動を通して自分のやりたいことをどんどん実践できる場所を目指した、というのが2つ目の理由ですね。

最後に「ノウハウが欲しかったから」。税務支援とか経営に関する知識は、学生の頃に勉強はしていたんですけど、なかなか足りないなぁと思っていて。Avainとは別に、起業とか自分のやりたい事業があるので、そのために必要なスキルを身に着けたいなと。商工会議所で「地域を活性化させるぞ!」という思いも、もちろんあります。

avain2

Avainの活動ももちろんですし、自分自身が「やりたいことをやっている大人」になりたいと思っています。地域の学生との関わりがあるので、そういったときに地元の大人で「やりたいことをやっている人がいるんだ」と思ってもらえる人がいることによって、“地元でもやれることがあるんだ”と思ってもらえる。自分自身が地域でロールモデルになっていくことで、ロールモデルがたくさんある=地域に魅力があるという風に、下の代の人に気づいてもらえるようになれたらいいのかなと思っています。自分がやりたいことを実践していくことが、最終的には「自分らしく生きていく」ところに繋がっていくのかなと思います。

お話を聞いて

サークル、部活、学生団体、ボランティア、インターンにバイト、研究活動…学生時代に経験し、大きく夢中になるものをせっかく見つけたのに、卒業というタイミングで続けることを諦めてしまうことは、少なくないですよね。
そんな中で、学生時代の活動を続ける選択を、「二足のわらじ」という形で実現された足利さん。仙台ミラソン参加メンバーをはじめ、会場の私たちに「既存の選択肢に縛られずに、やりたいことをやり続ける可能性」を見せていただきました。
足利さん、ありがとうございました!

avain3

Avainの運営するカフェは年度末(2019年3月)で一旦閉店し、秋には違う場所で新しくオープンするそうです。新しいcafe Avainはもちろん楽しみですが、今の店舗に行ける時間はあまり長くないようです。みなさん、ぜひ「遊びに来てけらいん」!

「取材協力・NPO法人Avain」https://twitter.com/avaincafe
「文と写真・山下航希(東北大学4年)/写真・稲葉史恵(ワカツク)」

他のイベントレポートも見る