近年、子どもの貧困が問題になっています。
その理由は、家庭の事情にあることがほとんど。
生まれ育った環境で、将来が決まって良いわけがありません!
そこで、子どもたちの未来を守るために、日々奮闘している団体と出会いました。
すべての子どもが安心して暮らせる社会を目指して
TEDICは、石巻市を中心に活動している団体で、家庭の事情や経済的に苦しんでいるなど、生きづらさを抱えている子どもたちの支援を行っています。
団体のメンバー(チューター)は、次の2つの事業のどちらかに携わっています。
1つ目は、学習支援。
対象は、小4~中3までです。
石巻市内のいくつかの拠点で、週4日、放課後の時間帯に子どもたちに勉強を教えたり、お話をしたりしています。
もう1つは、不登校支援。
小学生~高校生までを対象に、週3日行っている活動です。
市内に2か所ある団体の拠点の1つで、子どもたちと一緒にゲームをしたり、お昼を食べたり、勉強をしたりしています。
チューターの中には、両方の事業に積極的に関わっている学生もいるそうです。
そんな学生の1人・奈良さんと、事務局長の大津さんに話を聞きました!
勉強ができない子どもと、学校に行かなくなってしまう子どもは紙一重だといいます。
例えば、授業中に後ろの席の子にちょっかいを出す子は、家庭で話を聞いてもらえないために話を聞いてほしいと思っている可能性があるし、校内を走り回っている子は、家庭で気にかけてもらえないのでわざと目立とうとしているのかもしれません。
その結果、家庭で満たされない思いを学校で満たそうとして授業に集中できず、「授業についていけなくなる」→「学校に行かなくなる」という悪循環に陥ってしまいます。
学校に行かなくなる前段階に「授業についていけなくなる」ことが位置するので、「学習支援」が非常に大事なんですね…!
2つの主な活動以外にも、月に一度、子どもたちと地域の住民を交えて「子ども食堂」という活動も行っています。
公共施設を活用して、みんなで一緒にご飯を作り、向かい合って食べています。
団体の力には限りがあるので、地域の力で子どもたちを支える姿勢が大切です。
そのため、地域の住民と顔見知りになることで、ちょっとした変化に気づいてもらうことができるようになり、子どもたちを支えることに繋がればと考えているそうです。
さらに、子どもの居場所づくりの意味合いもあるといいます。
奈良さんは、団体での活動を通して、こんな感動を味わったといいます。
奈良さん「学校に行っていないと思っていた女の子が、修学旅行のバスから降りてきたのをたまたま見かけたんです。そんな大きな変化があったなんて知らなくて。めちゃくちゃ驚きましたし、その姿を見て泣きそうになりましたね」。
子どもたちを見守っていると、ふとした瞬間に成長が見られるそう。
大津さん「昨日まで何も変わっていないように見えた子が、今日になった途端、急に行動し始めることもあります。一見して変化は見られなくても、内面では少しずつ心が動いているんじゃないかなと思いますね。私たちから見れば変化していないようだけど、実はそうでもない。そんな変化・成長が垣間見える瞬間が、すごく嬉しいです」。
大人が手を差し伸べることで、子どもたちは安心して一歩を踏み出せるのかもしれません。
そのような環境が広がっていき、1人でも多くの子どもが前に進む勇気を手に入れられたら良いですね…!
「文・安達朋葉(東北学院大学3年・インターン)/写真提供・NPO法人TEDIC」
「NPO法人TEDIC」
主な活動内容:生きづらさを抱えている子どもたちに向けた「学習支援」と「不登校支援」。
設立:2011年5月
メンバー:社会人スタッフ4人、学生職員1人、大学生ボランティア15人