皆さんは、国ごとに教科書の内容に大きな違いがあるって、知っていますか?
この“教科書”に目を付けて、途上国の支援をしている団体を紹介します!
貧困を抜け出す手助けに 手作りの算数ドリル
IVY youth(アイビーユース)は、東北の若者を主体として活動している国際協力団体です。
主な活動は、「カンボジア算数教育支援プロジェクト」と「国際理解・環境教育活動」の2つあります。
今回は、「カンボジア算数教育支援プロジェクト」の次期代表、坂下さんにお話を聞いてきました。
このプロジェクトでは、主に助成金やクラウドファンディングを活用し、カンボジアのスヴァイリエン州の農村地域に「算数ドリル」を届ける活動を行っています。
プロジェクトを開始した当初、カンボジアの算数の教科書は、海外から輸入したものをただ直訳しているだけ。
段階を飛ばして説明されていたり、なじみのないイラストが描かれていたりと、学習内容のレベルが高いのに、子どもたちにとっては親しみにくいものでした。
さらに、4人で1冊の教科書を使うなど、児童に対して圧倒的に教科書が不足している現状がありました。
そこで、学習をサポートし、教科書不足を補うための教材として、団体がドリルを提供することになったといいます。
「算数ドリル」を手にするカンボジアの子どもたち
算数ドリルは、日本の教科書などを参考にしながら、団体のメンバー自ら作成しています。
わたしは市販のものを送っていると思っていたので、一から手作りしているのは驚きでした!
作り上げた算数ドリルは、春・夏の年2回、カンボジア渡航を通して実際に子どもたちに届けます。
その時は、初めから完成した紙媒体を持っていくのではなく、データを持って行きます。
現地の学校の先生との意見交換を経てから、紙媒体になり、子どもたちの手に渡るのだそうです。
完成までにたくさんの苦労や時間がかかる分、子どもたちにドリルが届いた時の感動は大きいといいます。
カンボジアで作業中の団体メンバー
また、年に1回、子どもたちにテストを実施し、算数ドリルの成果を測っています。
テストで出来が悪かった部分は、改訂を重ねてより良いドリルを目指します。
IVY youthは、算数ドリルでカンボジアの子どもたちの学力が向上し、それが貧困を抜け出すのに繋がることを目指しています。
今年3月までに、5685冊のドリルを、39の小学校に贈呈。
立ち上げ当時に設定していた「スヴァイリエン州スヴァイチュルン郡のすべての小学校(60校)に配る」という目標は、来年(2017年)の春に見事達成する見通しです。
カンボジアの小学校に「算数ドリル」をお届け
達成を目前にして、団体内では今後の活動の在り方を考える動きが出てきているのだそうです。
取り組む内容はもちろん、どの地域に的を絞って活動するかも迷いどころだといいます。
坂下さん「『カンボジアの子どもたちの将来が良くなるように』という軸は変わらないけど、どのようなアプローチをすれば良いのか、まだ決めきれていないんです」。
今は、春のカンボジア渡航に向けて算数ドリルを作っています。
1つのプロジェクトを終えた先にある、新たな展開とは…
今後もIVY youthの動きに注目です!
「文・安達朋葉(東北学院大学3年・インターン)/写真提供・IVY youth」